波乱まんじゅう記
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ザラメには特有の色を出すために【カラメル色素】が含まれていました。このカラメル色素を使用せずに角煮を製造したいと考えましたが、ザラメを抜くとコクが出ない…。悩む栄司に新しい方法を提案したのが、息子の寛司(三代目現社長)でした。寛司のアイデアを元にフランス料理で用いられる技法を応用し、ザラメを使わなくてもコクを出す新製法を編み出しました。職人達も長年培ってきた技術を生かし、一年ほどでこの新生法を完成させたのです。職人達が試作品を一日に六個も持ってくることや、昼食後に急に来て「食べてみてください!」と試食を頼まれることもありました。栄司は心の中で「何回かに分けて持ってきてくれよ…」とか「事前に言っておいてくれよ…。」などと思うこともありましたが、彼らの真剣さと、その一つ一つの試作品に込められた時間や労力を思えば全く苦ではありませんでした。こうして、味を落とすことなく、添加物を使用しない角煮まんじゅうの製造に成功したのです。長崎角煮まんじゅうの角煮に使用している豚肉は、チリ産の「アンデス高原豚」という、ブランド豚を使用しています。日本にもたくさんの豚肉があるのに、なぜチリ産を使用しているのかと疑問に感じるお客様も多いと思いますし、実際にご質問をいただくことも多数ありますので、次は豚肉についてのお話です。栄司は、角煮に最適な豚肉を日本全国探しました。衛生的に充分管理され、味も良い豚肉は国内でも見つかりましたが、希望の量を供給できる養豚場がなかなかありませんでした。一ヶ所からだけでなく数ヶ所から仕入れることも検討しましたが、、それでは養豚場ごとに餌も飼育環境も異なるため、安定した味が出せません。そこで、「日本がダメなら世界だ!」と情報を集めているうちに、チリにある「アグロスーパー社」が『アンデ        

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