波乱まんじゅう記
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 「安心・安全にとことんこだわった工場を建てよう」と、HACCP(アメリカのNASAで開発された食品物産協会の当時の担当の方からは「まだ知名度もない。やめたほうが良い。」と忠告されてしまいましたが、その忠告を押し切り、長崎浜屋の物産展に参加しました。普段、お店で販売した場合、二人で八万円程度の売上…期待と不安でいっぱいの栄司でしたが、なんと!一人で十五万も売り上げたのです。栄司は物産展の出店に面白さと手応えを感じます。知名度が低いという弱点を克服するため、まずは、角煮まんじゅうをもっとたくさんの方に知ってもらうために売り場で試食を配り始めます。その試食配りは今も受け継がれ、岩崎本舗の各店舗、物産展でもたくさんの方にお試しいただいています。たくさんの方にお試しいただき、ご購入いただいたことで、口コミが広がり、テレビなどで取り扱っていただく機会も増え、瞬く間に角煮まんじゅうは「長崎の名物」として、全国に知られていきます。ところが、売上があがるにつれて、今度は製造が追いつかない状態が続くようになります。そこで、栄司はある決心をします。衛生管理の方式)認定の工場を建てるために動き始めます。この『HACCP』にはたくさんの原則や手順があり、そう簡単にとれるものではありません。しかし栄司は専門家の方達の協力もあり一年の月日をかけて認定を取得、長崎で初となるHACCP認定工場を立てたのです。立派な工場ができ、今までよりさらにこだわって商品づくりができるようになった栄司は、職人の技で作る母の味を目指し、食品添加物を一つ一つ取り除いていくという、とても大きな目標を立てました。まずは、生地の膨張剤として使われていた【ベーキングパウダー】ベーキングパウダーを使うと生地を膨らませるのは簡単ですが、パン職人のようにイースト菌の発酵によって生地を膨らませたいと考えたのです。いざ試してみると、やはり生地の膨らみ方が足りません。それでも、職人達と試行錯誤を重ね、五年もの月日をかけて、ついにイースト菌を使ってふわふわの生地を完成          

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