波乱まんじゅう記
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 「長崎のおとうさんの具合が…」 長崎から連絡を受けた栄司は、飛んで帰りました。それから半年後、念願だった調理場へ配属されるのですが、鍋洗いなどの単純作業が嫌になり四ヶ月で辞めて長崎へ帰ってきてしまいます。しばらくして、知人に紹介された東京の焼肉店「三幸園」に勤めることとなり、そこで後に妻となり、現在の岩崎本舗の専務でもある眞智子に出会います。幸園では三年ほど勤めましたが、自分にだけ厳しい上司が嫌になり退職してしまいます。しかし、思い返すと、自分にだけ注意していたのは「それだけ期待してくれていた」と気付き、後日談ではありますが、岩崎本舗の社長に就任した後、三ヶ月ほど再修行に行ったそうです。三幸園を退職した後、次の就職先を探していると眞智子からレストラン「レッドロブスター」に興味がある事を聞き、まずは二人で客として食事をしてみることに。そこでのお店の雰囲気、接客に感動した栄司は「自分もここで働きたい!」と面接を受けようと考えました。しかし、面接の資格は【高卒以上】…迷っていた栄司でしたが「どこの高校を卒業したとかいちいち調べないって!受けてみればいいじゃない!」との眞智子からの後押しもあり、面接を受けてみたところ【採用】無事にレッドロブスターへ就職が決まりました。レッドロブスター時代の思い出として、その頃、お金が無かった二人ですが、副店長が牧師もやっていたこともあり、結婚式はレッドロブスターの店内で挙げてもらったそうです。仕事にも慣れ、新店舗のオープニングスタッフを任され、寝坊しながらも毎日深夜二時頃まで働く日々を過ごしていた時、眞智子から重大な一言がところが家に着いてみると、そこにはいつもと変わらぬ元気な父の姿が…。毎日、昼夜を問わず働き続ける栄司の体を心配した眞智子が仕組んだことでした。こうして栄司は故郷長崎へ戻り、精肉店などに手作りぎょうざを卸していた父の仕事を手伝い始めます。東京で懸命に働き、眞智子と二人でなんとか暮らせる位はお給料をもらっていた栄司でしたが、長崎に帰って初めてもらった月給はわずか七万円。それまでの三分の一もありませんでした。         

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